サッカー日本代表に見る民族的メンタリティ

公開日: : 最終更新日:2014/08/03 起業・ベンチャー

ワールドカップ終了!

ワールドカップ前の前回の記事で、サッカー日本代表メンバーを予想し、23人中22人を的中させて、調子に乗っていた私ですが、肝心の本番の予想は外れまくり。開幕前は、経験豊富なスペインの二連覇を予想してました。

ベスト4になってからの予想も、3位決定戦は開催国のプライドにかけてブラジル。
決勝は、ドイツの猛攻をしのいでのカウンターが決まって、アルゼンチンと予測しましたがそれすらもハズレ。正直、日本代表メンバーが的中したのもマグレとしか思えません。

それにしても、ブラジルVSドイツの1-7は衝撃的でした。
歴史に残る惨敗にブラジル国民の怒りが印象的でした。多くの国は負けることを恥辱と考えているんですね。試合の最後に、ドイツのボール回しを応援し始めるブラジルサポーターに、なんとも言えない息苦しい気持ちになりました。

というわけで、いまさらですがW杯の総括というか、思ったことを書きます。
文体もそれに合わせて、だ、ある調にかわります。

サッカー日本代表と旧日本軍

2014080201

異質だった試合前の雰囲気

サッカー日本代表が、旧日本軍に似ていたというと、同様の指摘は他にもあるかもしれない。
彼我の戦力差を客観的に見ることが出来ず、”自分たちのサッカー”というお題目にとらわれ、無残な敗戦となった2014年の日本代表と戦前の日本軍との共通点は少なくないが、今回は別の話である。

1敗1分けで向かえたコロンビア戦。
試合前の日本チーム、TV中継の雰囲気は、敗戦を間近に控えた悲壮感で充満していた。
まだグループリーグを勝ち抜く可能性はあったにも関わらず、である。

さながら、敗色濃厚な戦地に学徒動員で特攻に向かうような雰囲気と言ったら不謹慎にすぎるだろうか。玉砕覚悟で死地に赴くような悲壮感を試合前から漂わせていた。

そしてコロンビア戦。
選手たちは奮闘したが、いかにもチグハグで後半途中からは戦いの体を成さなかった。

「海ゆかば」の奇妙な心地よさ

試合終了直後は、チャントではなく、まるで「海ゆかば」が流れているような悲しみに包まれていた。
「海ゆかば」は言うまでもなく、戦中に日本軍の戦況を伝えるラジオのバックで流れていた曲だ。戦死した同胞を思い、国の行く末を予感しながら愛唱され、その経緯もあって、戦後はほとんど抹殺された。

今でも「海ゆかば」を涙を流さんばかりに愛聴する戦中派は少なくない。
文字通り、時代を象徴し、民族の鎮魂歌となった曲だ。

我が国にとって、敗北は恥辱ではなかった。
敵国への怒りや憎しみを増幅するものですらなかったである。

玉砕の報を聞き、本土への危険が迫る中、敗戦濃厚の日本国民は、「海ゆかば」を聞き、たしかに感動していたのだ。あえて言えば、それは、そこにとどまることで、その痛みの何処かに、微かな心地よさを感じるもがあったとはいえないだろうか。

悲壮感や失ったものへの痛み。
それらの悲しみの中に浸る、ある種のセンチメンタリズムを、いわば民族の本質的な性向として、日本人は好むのではないかと思う。

例えば、平家物語。
平家には、攻撃される源氏への憎しみは感じられず、どこかで滅亡する運命を甘受しているようにみえる。

滅亡へと至る道程、滅亡してからの深い悲しみ。
我が国の歴史は、とかく滅亡への深い共感がある。

サッカー日本代表に見る民族的メンタリティ

コロンビア戦試合前のTV実況席の悲壮感。
彼らは、どこかに敗戦を予感し、その予感に反作用するように、必勝を叫んでいた。
そこにはたしかに、悲壮感の奥に包まれた、微かな心地よさがあったのではないだろうか。

選手たちでさえ、息苦しささえ感じるような険しい形相で、運命と対峙する不安と戦っているようだった。
そこに、民族的なメンタリティが見えるように思える。

私が、サッカー日本代表と旧日本軍との共通点を見出すならば、その点に尽きる。
敗北に打ちひしがれる悲しみの内側に、日本人のメンタリティを甘く刺すような痛みがあるはずである。

日本人の敗北に、屈辱はなかった。深い悲しみへの共感があるのみである。
以下は三島由紀夫の引用である。

日本人は八月十五日を転機に最大の屈辱を最大の誇りに切りかえるという奇妙な転換をやってのけた。
-「私の中のヒロシマ」-

敗北への屈辱が希薄であることが、戦後の国家的な転向を容易にした。
戦後の日本がそうであったように、サッカー日本代表も敗北への客観的な総括は出来ないだろう。

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